お知らせ 本願寺 眞無量院からのお知らせです。

本山御堂にて本願寺眞無量院僧徒が仏前結婚式を受式されました。(更新日 2017/07/01)

 去る6月25日、本山御堂に於いて本願寺眞無量院僧徒の土屋敬之さんが、このほど木村有紀子さんという新たな伴侶を迎えられ、新郎新婦の親族、また宗学堂東京学院にて仏法求道を共にする同門の僧侶が列席する中、所属寺住職である大谷飛鳥御住職殿御司婚の下、仏前結婚式(華燭の典)を挙げられました。

 午後1時30分、神韻たる雅楽の音色が出席者の頭上に流れる中、新郎と新婦が本堂に入堂。浄土の諸仏により奏でられる讃仏の楽を思わせる妙なる音に包まれて、司婚者御先導のもと、白裳附を着用し、威儀を正した土屋さんが静々と歩を進め、白無垢姿の有紀子さんが続きます。楽の音に出席者の心も高まり、厳かに執り行われようとする挙式を前にした両人の緊張と喜びの胸の鼓動が伝わってきます。

 祝福の眼差しに包まれた新郎新婦が外陣に着座すると、司婚者より婚礼の勤行に先立ち表白を読まれ、この度の仏前結婚式の意義を申し上げられます。

 法要で厳かにお勤めがなされる中、新郎新婦は焼香を行い御本尊にお参りします。

 法要ののち、外陣に下りられた司婚者の前に新郎新婦が進み出ると司婚者より【司婚の言葉】が申し上げられました。

 司婚の言葉では、「互いに夫となり妻となり、やがてまた人の親となることは、神聖にして厳粛なる、無限に尊い約束であることを始めて明らかにされたのは、わが御開山親鸞聖人でありました。なにとぞこれからは、念仏の心をいただかれ、真実の幸せを見出して、身心ともに健やかに、人生を歩まれんことを念じて止みません。」と述べられました。そして新郎新婦に仏前に於いての誓いを求められ、それに対し新郎新婦は「これからはお互いの理解と愛情を大切にし、苦楽を分ち合い、励まし合って、社会に役立つ良い家庭を築き、私たちがこれまでお育ていただいた、はかり知れないほどのご恩にむくいたいと存じます。」と苦楽を共にし佛恩報謝の生活を共にすることを仏前に誓約されました。

 そして浄土を荘厳する玻璃を思わせる清冽な念珠が司婚者の御手より両人に授与されました。

 引き続いて【献杯の儀】。三々九度の杯とも言われ、新郎新婦が木盃を受け、順次飲み干します。同時に両家の親族友人、新郎の同門たる僧侶たちも盃を交わし、同じ僧伽の一員である学友の門出を寿ぎました。

 近年の日本ではキリスト教式や海外挙式など、新しいタイプの婚礼が流行していて、仏前結婚式にはなじみがない方々も多いようです。香煙たゆたう中で本山御堂での仏前においての結婚式を実見すれば、伝統と格式を感じさせるばかりでなく、親鸞聖人のお示しくださった御教えが800年の時を超えて、ともに道を歩み始めた2人を弥陀の慈光のもとに包み照らしてくださるようです。

 式終了後には、本願寺御法主台下の思し召しにより、本山黒書院にて、御接見の栄を賜り、式の報告と、これからは当宗門僧侶として家族全員で仏恩報謝の生活を送って参りますと、これからの新たな人生についてにこやかに話されておりました。

 仏前にて結婚式を行うということは、人生の新しい門出に際し、生涯を共にする伴侶と共に御仏前に手を合わせて奉告することは、自身の命が御仏の不可思議な御力によって生かされているという喜びに気づかせていただきこれを感謝しつつ、量り知れない御縁により巡り合った二人が手を取り合って、生涯にわたってお念仏(南無阿弥陀仏)の日々を過ごすことを御本尊(阿弥陀如来)に表明する儀式なのだと改めて学ばせて頂く良い機縁となりました。