お知らせ 本願寺 眞無量院からのお知らせです。

本願寺准連枝 機法院殿(大谷真実様)「連載 自灯明法灯明(第6回)(更新日 2017/12/01)

 11月27日・28日、東山浄苑東本願寺にて報恩講が厳修されました。報恩講とは、阿弥陀如来の「恩」に「報いる」「講(集まり)」という意味で、宗祖親鸞聖人の御命日(11月28日)を中心に勤められる法要です。

 忙しい日々を過ごしている中、報恩講で改めて阿弥陀如来のはたらきにより生かされていることに感謝することができました。

それでは、今回も《正信偈》から

 顕示難行陸路苦(けんじなんぎょうろくろく)
 信楽易行水道楽(しんぎょういぎょうしどうらく)

という二句を紹介させていただきます。

 これは、『(龍樹菩薩は)難行の陸路を進むのは苦しいが、易行の水道を進むは楽しいと勧められた』という意味です。

 ここで龍樹菩薩について説明させていただきます。龍樹菩薩は七高僧(お釈迦様の教えの正意を親鸞聖人にまで伝えてくださった方がた)の第一僧です。七高僧は、インドの龍樹菩薩、天親菩薩、中国の曇鸞大師、道綽禅師、善導大師、日本の源信和尚、源空上人です。

 今回は龍樹菩薩の伝記をご紹介させていただきます。 龍樹菩薩は、南インドのヴィダルバという町でバラモンという階級の家に生まれ、ナーガールジュナと名づけられました。

 龍樹はとても賢く、20歳のころに学問を極めてしまいます。もう学ぶことがないと退屈した龍樹は遊びを極めようと3人の友人と悪巧みを始めます。“隠身の術”(透明人間になる術)を習得した龍樹たちは、王宮の中に忍び込み、宮廷の美女たちを襲ったのです。このことがばれて、王は、兵士たちに刀を振り回させ、3人の友人を刺し殺してしまいます

本山本堂 七高僧御影像
【龍樹菩薩】

 龍樹は王の近くに身を隠すことで助かりましたが、“欲望にまかせて快楽を追求すると、それが原因となり災いを招いてしまう”ことに気付かされます。こうして出家する道を選び、大乗仏教を学び極め活躍するのです。そして「大乗仏教の祖師」として崇められる存在にまでなるのです。

 そんな龍樹菩薩は釈尊(お釈迦様)の教えを難行道と易行道に分けられました。

 難行道とは、険しい陸路を苦労して歩き続けることを意味し、自力による難しい修行のことをいいます。多くの修行を長期間にわたり積み重ね、耐えなければいけません。途中で諦めてしまうかもしれません。

 それに対し、易行道とは、船に乗って水の上を行く楽しく快適な道のことを意味し、仏さまにお任せすることをいいます。易行道にしたがうなら、楽しみながら安心して過ごすことが出来るのです。阿弥陀如来の本願を疑いなく信じることは易行道にしたがうということです。難行道ではいつか限界がきてしまい、その絶望の果てには易行道が待っているのです。厳しい仏道修行を経験された龍樹だからこそ、他力本願のありがたさを伝えてくださったのでしょう。