平成27年度 本山夏安居が行われました。(更新日 2015/07/06)
平成27年7月4日から5日にかけ、本山夏安居(げあんご)が行われました。
本年の本山夏安居は、本年6月14日に行われた本山得度式にて僧侶としての仏道を歩み始めた者も多数参加し、総勢38名の当宗門僧侶と、それに加え宗門僧侶の寺族3名の参加となりました。
安居とは、一般的に僧侶たちが一定期間、外に出ずに屋内にて修行を行うことを指します。元来の仏教開教の地インドにおける安居は、雨季に増える虫への不用意な殺生を避け、また屋外での托鉢が出来ないこともあり、むしろこれを良い機会として、屋内の御堂にて皆で修行を行ったことがはじまりと言われています。
- 平成27年度 本山夏安居
浄土真宗においては、自力の計らいで悟りを目指す修行は、雑行として本来行いませんが、本願寺眞無量院におきましてはこの安居を、より仏法を聴聞し信心を賜る良い機縁として、また、世間での俗生活を離れ本山にて儀式作法の研鑽を積み、御仏への仏恩報謝の思いを深める場として毎年行っています。
当日は、まず本山夏安居開会にあたり、大谷飛鳥本願寺眞無量院御住職殿より「この夏安居を、法友との親交をはかり、またさらなる宗門人としての自覚を育む場としてもらうべく、おのおの有意義に過ごしてほしい。」との御言葉を賜りました。次に本願寺執事長大谷堂役より、夏安居参加にあたっての注意事項とスケジュールの説明があり、その後は僧侶と寺族とに分かれ、安居が開会となりました。
僧侶たちは、本堂で本山堂衆より本堂の構成と荘厳について受講をし、引き続き出仕退出の心得として、着座、正座、起座、直立、蹲踞、膝行等を細かく指導をいただいた。
また、寺族の班では本山堂衆より、真宗の教義や概要、家族に僧侶がいる者としての心得、また本願寺の歩んできた歴史等、宗門僧侶の家族としての自覚促進、意識の共有化を目的とした講義が行われました。
- 出退作法の習礼を行う
2時間に亘る習礼と講義が終わった後は、僧侶と寺族が夕食をともにしました。つかの間の休息の後、大谷実成本願寺御連枝殿による「釈尊の教えに学ぶ」をテーマとした宗門特別講義が行われました。
特別講義では御連枝殿自ら、1人ずつに質問を投げかける形での講義が行われ、まず夏安居とは何か、三宝帰依とは何か、そして釈尊が説かれた教えについて現代の我々の生活・文化と関連付けながらの講義を頂戴いたしました。
御講義の後には、御連枝殿との宗門僧侶との質疑応答という恐れ多くも有難い貴重な場がもたれ、浄土真宗教義や宗門僧侶としての自覚等について、同じ仏門を求道する者として忌憚の無い意見交流が行われ、夏安居の1日目は終了となりました。
- 宗門特別講義
2日目は、朝早くより御堂や境内の清掃から始まりました。本堂を清掃・荘厳(お飾りを整えること)することは、僧侶の責務であると共に、仏徳讃嘆の第一歩となります。
清掃を終えた後は、みなで朝食を頂き、その後、僧侶たちは法衣に更衣し、本山晨朝(朝のお勤め)に出仕。寺族が参詣する中、前日の堂衆による習礼を意識しながらのお勤めとなりました。
晨朝後は、御仏から頂く安心(あんじん)に対して各々が改めて意識し、認識を共有するための「わたしにとっての、いのち」をテーマとした感話の発表が行われました。ここでの感話とは、自らの体験・経験を通して、自分自身が感じたことを、素直に飾らず出来るだけ人に伝わりやすい様に、皆の前で話すことを目的としたもので、「法話」の前身、今後僧侶として御仏の御教えを伝導していくための習礼とするものです。
代表者6名の各々が、御仏から頂戴している「いのち」について感じる所を、緊張しながらも、言葉のひとつひとつを慎重に自分の中から掬い取りながら、一所懸命に話しておりました。
- 「いのち」についての感和発表
各々の感話についてはその場で本山堂衆より講評があり、感話をする際の所作の指導や、各々が感じたところをさらに掬い取り教義としての共有化をはかる等、大変有意義な時間となりました。
感話の発表を終え、夏安居も閉会式となりました。閉会式では、大谷暢順本願寺御法主台下より僧侶一人ずつへ修了証が授けられ、その後御法主台下より「日頃は仕事などで多忙な中、こうして夏の1日を夏安居として、法友たちと共に1日中仏法にひたり生活するというのはとても有意義なこと。今回みなで研鑽を積んだ経験を、各々これからの仏法を求める道の中で糧としていってほしい。」との御言葉を頂戴しました。
- 御法主台下からの御言葉
修了証の授与の後は、大谷飛鳥本願寺眞無量院御住職殿より、「仏法の学びに終わりはないが、こうして夏の1日を同門の皆で集まり、一丸となって仏法という同じ目的を持って過ごせたのは得難いこと。今後も仏法を縁として共に歩んでいきましょう。」という御言葉を頂戴し、本年度の夏安居は閉会となりました。
夏安居に参加した僧侶からは
「僧侶としての道を歩み始めて間もないが、こうして共に同じ道を歩まんとする人がいることは、今後の僧侶としての研鑽の道での強い心の支えとなった。」
「御連枝殿より直々に講義を頂戴し、またとない機会だった。」
「法話でなく感話といえど、みなに法を伝えるという行いに対しての自覚が足りなかった。また、緊張でままならなかった。そうした現在の自分を見つめることが出来た。」
「最後に頂戴した御法主台下と御住職殿の御言葉に、宗門僧侶として感銘を受けた。来年度は自覚、意識ともにひと回り大きくなって夏安居に参加したい。」等の言葉が聞かれました。
また、寺族として夏安居に参加した僧侶のご家族からは
「家族に僧侶をもつ者として、自覚しておくべきことがわかった。また、普段家族が僧侶としてどんなことをしているのかがわかった。」等の言葉が聞かれました。
本願寺眞無量院では、毎年、本山宗門僧侶を対象とした本山夏安居を行っています。宗学堂での学びを経て僧侶となった者にとって、宗祖親鸞聖人から御歴代を経て連綿と続く血法一如の御教えを、本山より直々に頂戴するまたとない機会です。この度頂戴した御縁を因として、今後益々宗門が発展していくことを切に願うところであります。